Suzuka Sound of ENGINE 2019 (鈴鹿サーキット)

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今年で5年目を迎えたSound of ENGINEイベント、今回よりRichard Milleの冠が外れて元のイベント名に戻りました。それでも続いたのはまあよかったんじゃないですかね。

今回は目玉としてTyrrell P34の走行とWayne Rainey氏のカムバック走行が予定されていました。P34については少し前のGPCar Story誌にて、往年のF1ドライバーPier-Luigi Martini氏が大のP34ファンで、ついには入手して走らせているという特集があり、それをそのまま鈴鹿サーキットに持ち込むという内容で、ほぼタイアップ企画ともいえます。Wayne Rainey氏のカムバック走行はやや遅れて発表となり、青木三兄弟のTaku青木氏による働きかけもあったのでしょう、わりと短期間でメインイベント化したような感じです。こちらには関係の深いKenny Roberts氏やEddie Lawson氏も同伴、このお二人は2015年の第1回SoE以来の登場です。

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しばらくよい天気が続いていましたが、前週後半にやや崩れ、どうかなと思っていました。当日はほぼ快晴、しかも暖かい。ジャケットがいらないほど。

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今年はやや進行が早く、10:30に着いた頃には日本のレジェンドドライバーたちのトークショーが行われていました。中谷明彦氏が若手に見えるラインナップ。

すぐにグリッドウォークの待機場所へ移動すると、もうすでに30〜40人並んでいました。

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ピットのパドック側では各マシンの整備が進みます。

去年より1時間ほど早くグリッドウォークがスタート。時間は30分あるので、わりとしっかり見ることができそう。

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LOTUS 101。1989中嶋車のはず。去年はN.Piquet車でした。

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コンディションはまずまずの様子。EPSONロゴはきちんとHelveticaが使われています。

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Benetton B189、A.Nannini車。

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何と言っても鈴鹿ウィナー車です。

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ディフューザーに特徴あり。

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Tyrrell 019。1990中嶋車仕様。開発者Harvey Postlethwaite氏のようにフロントウィングに飛び乗ってみますかね。人気車なのにメーカー製1/20インジェクションキット化されていないのは謎。

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今も昔もドライバーを苦しめるPirelliタイヤ。しかし1990年はまあまあよかったかな。

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Lotus 88。

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Lotus 78。

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40年以上、動態を維持しているわけですね。

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往年のトップチームWilliamsのFW12。今はトップチームから転げ落ちてテールエンダーですが、このころのマシンには存在感があります。ノーズ上のベルクランクの膨らみが特徴的。Patrick Headとしては譲れないところだったのでしょう。FW14Bでは妥協したAdrian NeweyもRedbullのマシンでこれを進化させてフィンにしましたね。

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非常にコンパクトにまとまっています。

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この形のサイドポンツーンは初めて見ました。かなりの前傾でラジエータが収まっていそう、しかし絶対的なスペースは足りていないのでは。上方ダクトのFW12はよく見ますがこの形は知らなかった。

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おっと、今年も亡霊が...この方は去年の人とは違うようで、こないだはSuperFormulaの開催された岡山国際にいたとか。パドックトンネルを出たGPエントランス横で休憩していらっしゃいました。

・・・その右前方に、ものすごい人垣ができています。ああ、これか...この中に入るのかあ。

入ってみました。

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Tyrrell P34 1977仕様です。Pier-Luigi Martini氏が、ある富豪から手に入れたものらしく、ボロボロのコンディションから再生され、しっかり手が入れられています。しかしこの日は燃料漏れでDNS。土曜のみ走行し、S字をかなりクイックにターンしていました。

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きちんとノーズとサイドポンツーンの間にフロントタイヤが収まっています。ただ、このサイズのホイールを4つにしても、ブレーキ性能は苦しかったのではないかと推察します。意外と扁平率は低い。

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ちょっと離れると何も見えません。すごい人気でした。

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Mazda 767B。今回はメカニック氏が整列。

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ADVAN Alpha NOVA Porche 962C。これが後で主役に。

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LOLA T98-51。Cosmo OilというとEddie Irvineを思い出しますが...

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車種情報はなかったですがLOLA T93-50かな。Nova Engineering H.H.Frenzen車でしょう。Kawai SteelというとイメージとしてはMSCですが。

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ひっそりと佇むAGS JH23。

ピットウォークしていると、P34並みに人だかりができているところがあります。こちらはスペースがないのでほとんど近寄れない。なんとか覗き込むと、WGPレジェンドのボックスぽい。

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青木兄弟とWayne、Kenny。

ひととおりピットウォークを終え、今年はシケインスタンドでと思っていたので、パドックトンネル方向に歩いていると、また人だかりで、サインを求める人多数。よく見ると星野さんがそこにいました。

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その後、ピットビルの階段で寺田陽次郎氏と遭遇。

パドックトンネルに行く前に、そういえばP34の展示があるはずだわなと思って2Fを歩いていると、まばゆい光を感じ、すぐにここが展示スペースだと気がつきました。

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Tyrrell P34 1976仕様。黄帯部分は結構な蛍光イエローで、ルノーエンジンの搭載を予定していたためのものだとか。この日のために静岡のタミヤ本社から搬入されてきた個体です。

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隣にはMinardi M191。残念ながらフォーカスが合わず...

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わりと静かな展示でした。そういえばM191はFerrariとMercedesで名を上げたAldo Costa氏の設計だったはず。このアングルからだと結構なハイノーズです。

さて、その後の演し物は最終コーナーかシケイン席で観ようと思い移動します。

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F1中継などでここからの絵を何度か見たような気はします。伊勢湾も遠望。

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Historic Formula Registerレースの様子。

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シケインでスピン発生。大きな事故にならずよかった。

F3000/F2の走行です。わりとおっとりした走行でしたが、一人だけぶっ飛ばす御仁が。

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Boutsen AviationのThiery Boutsen社長。しかし突然いなくなりました。どうやら電気系トラブルだったようです。

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LOLA 90-50 1990片山右京車。

Cカーの走行。この車列にはいないクルマが急に追いついてきて...

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またもBoutsen AviationのThiery Boutsen社長。最後尾スタートだったのが急に追いかけ出し、どんどん抜いていきます。他の車が避けてましたな。ラップタイムも2分を切るところまで行ってしまい、クルマの現役当時の鈴鹿ポールタイムから1.5秒落ち程度まで走ったようです。今回は完走しましたが、なぜかチェッカーを受ける前にピットイン。まあ単なる勘違いでしょうけど。

メインイベントその1、Wayne is Back。

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Taku青木のアドバイスで、Wayneの走行がスタート。土曜の走行はやや不安定だったそうですが、この日は2周目からスピードを上げ、目視でも150km/hくらい出ていたのでは。完全に腕だけで支えているとのことで、腹筋や腰でのホールドもなく、我々にはその感覚は想像もつきません。もし転倒したらどうなるのかと心配しましたが、問題なく走行を重ねます。

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Taku青木のライド。彼の場合はすでに経験済みということもあり、比較的問題が少ないように見えます。

この後からKennyやEddieが追いかけます。

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4人揃ったところでパレードラン。Taku青木は手を挙げていますがこれは大変なこと。Kennyはヘルメット越しにしゃべって聞こえるのだろうか...

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Raineyも手を挙げていました。

その後メインイベント第2弾のP34の走行...のはずが、残念ながら燃料漏れにより取りやめに。Pier-Luigi Martini氏とBoutsen社長のインタビューが行われました。Martini氏は、再度のイベント参加に意欲、その際はM191などMinardiマシンを複数台持ち込むことを提案。これは期待できます。よくImolaでやっている走行会のような感じですね。Boutsen社長も終始上機嫌で、Porscheでの爆走も、クルマが決まっていたから走らなければもったいないとのことだったようです。氏は6月に鈴鹿に来ていたんですよね。

さて、当初昼過ぎの予定だったWGPレジェンドライダーのトークショーの時間なので、またGPスクエアに戻ります。ギリギリまでF1レジェンドのインタビューを聞いていたので、ついた時にはすでに三重の輪くらいになっていました。300人くらいですかね、もう少しいたかな。

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Raineyが指さすのは、どうやらKennyの顔をかたどったプレートを持っている人がいたからのようです。後でEddieが、あのパネルと今のKennyはかなり違うぞ、あんなに痩せていないし髪の毛もないと話すと、Kennyも「まだ髪の毛は残っている!」と応戦。

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おおっ、Eddieの眼光が強烈。たまたまなのか、カメラを頭上に掲げた男が気に入らなかったのかわかりませんが、撮った後でびっくり。

今回はKevin Schwantzがいなかったので、アメリカンWGPライダー勢揃いとまではいかなかったですが、とにかく人気はあり、苦労話も多数。Wayneの走行はKennyにはかなり心配だったようで、無事走れたことには感無量であったと繰り返していました。トークショーは盛況のうちに終了、なぜか追い出しミュージックはThe WhoのWon't get fooled again。今回イベントではやたらとThe Whoがかかっていましたが妙な感じです。

このメンツだけにRacersの加藤・今井両氏もいたのかな?GPCar Storyのほうも、今回のラインナップだとネタ採りは難しいかも。逆にネタを提供したような感じでしたね。

残念なことにこのトークショーはLegend F1の走行時間帯と被ってしまい、終了後に慌てて最終コーナーへ向かったものの、ほとんど終わっていました。まあ仕方ない。秋の夕方は、路面温度も下がるしF1を走らせるには遅くないかなという気がしますけどね。

アンケートにも書きましたが、どうもこのイベントはホンダ色が「消してある」。まあ、当初はバラエティ豊かでいいと思ったし、鈴鹿でホンダ前面となると他のメーカーは完全に脇役になるので、気を使っているのかもしれませんが、せめて2輪4輪とも1台くらいは最高峰マシンが出てほしいものです。そういえば次のRacersはNR250Turboですが、何と言っても「エンジンサウンド」のイベントなんですから、NRやらCBR400FのREVやらIntegraのB16Aやら、そういう量産ヘリテージエンジンも展示するとか、まあホンダだけじゃなくていいんですが、そんな企画もあってもいいんじゃないでしょうか。各メーカー4st 250ccの20,000rpmエンジン勢揃いとか。

もう一つそういえば、今年はMasters F1のレースがなかったです。意外と面白かったような気がしますが、Richard Milleが外れた影響なんかもあるんでしょうかね。

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