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My Bloody Valentine Japan Tour (大阪・なんばHatch 2/6) 辛口ライブレポート

まず。最後の13分ノイズはひどすぎた。そのまま倒れるかと思った...フジロックでも15分やったらしいけど屋外とライブハウスでは違うだろうし。どうやら「ホロコースト」と呼ばれているらしいなこのノイズは。まさにそれを生き延びたユダヤ人のような心境です。

別のギグの様子(今回のツアーではありません)。2m10sあたりからその爆轟音に...もちろんPCで再現できるようなもんじゃありません。Beyond Description.この音を聞くだけで当日の殺気がありありとよみがえります。屋内であの音はかなりしんどい。

さて、そのフジロック以外では約20年ぶりの来日公演となるMy Bloody Valentineのライブに行ってきました。

18:00ちょうどになんばHatchに着くとそこそこ人で溢れていました。比較的どんくさい人さばき(一旦外に出すなら最初からそうしたら)で30分以上は待ってからもぎりスタート。まあ例外的にややこしい演者だと思われ、準備に時間がかかり開場が遅れたので、しかたないところか。 思っていたよりもかなり若いファンが多い。90年ごろが現役の世代というと40歳代以上となるけれども、2割もいないのではないか。で、男が多い。とはいえ、そこそこ女の子もいます。ケバいのはいません。よいことです。でもティーンエイジャーはみかけません。ある程度前知識を入れることのできる人が来たのかな。ウィークデイということもあるでしょう。

優先購入やA番台だけで800は超えていたと思われます。最終1500くらい入ったのかな。かなり待ってからB番台が呼ばれたのでさっさと入場。ドリンクは面倒なので金だけ払って受け取らず。どうせ飲まん。同時に耳栓がもれなく配布。係員によると、普段の倍のスピーカーを用意してあり、だんだん音が大きくなっていくとのこと。なるほどと思ったものの、のちの惨状までは想像がつきませんでした。

フロアはすでにほとんど埋まっていて、あまり場所もないので袖の方で場所を確保。最初はそれでいいと思ったものの、結局ギチギチに埋まりました。2階席はラクそうだったな。

なんかアンプの置き方もわけわからんなあ。MarshallとHIWATTがあさっての方向を向いています。かなり頻繁にローディーがウロウロしてチェック中。

ここでもなかなか客電が落ちず、40分くらい待ったような気が。まあそんなもんでしょうが、退屈なので目をつぶっていると、気がついたら始まってました。19:30ごろのスタート。ケヴィンが妙にいかつく、イングヴェイのように見える。ビリンダは1人だけ端っこの前に。デビーは中央左。

セットリストはネットで流れており、前日は

  1. I Only Said
  2. When You Sleep
  3. New You
  4. You Never Should
  5. Honey Power
  6. Cigarette in Your Bed
  7. Come in Alone
  8. Only Shallow
  9. Thorn
  10. Nothing Much to Lose
  11. To Here Knows When
  12. Slow
  13. Soon
  14. Feed Me with Your Kiss
  15. You Made Me Realise

とのことで、変えてくるのか興味がありました。

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ようやく始まったらいきなり破壊的音量。曲自体が破壊されている。ディテールまるでなし、アタックの音圧が強すぎて何が何やら。これはひどい。最初からむちゃくちゃ。それなりに踊っているのもいるが外タレのライブにしては比較的静かなのではないか。しかしこの音だと各パートが分離していないので、いくら100個ペダルがあっても意味ないんじゃないの。

I Only Said

ギターとヴォーカルは全く聞こえず。キーボードのフレーズで曲が判別できる程度。「ケヴィン」の掛け声多数。しかしどうせ言うならもう少し気の利いたことが言えないか。ケヴィンも特に答えず。「ビリンダ〜」ってのはなかったな。まあ今やおじさんとおばさんメンバーだしね。


When You Sleep

冒頭から何がなんだか全くわからず。曲が終わり掛け声がかかる。笑わせようとしたのがいたな。

New You

セットリストからすると新作からはこれだけ。曲が特徴的なのでわかるんですが、なぜかすぐにストップしてやり直し。どうも慣れていないらしい。

You Never Should

やっぱりこれをやるのか。破壊的な音ですが意外といける。原曲の音が悪いだけに、ライブの方が迫力・スピード感などが増してなかなか良い。とは言っても爆轟音にかわりなし。

Honey Power

まったくなんだかわからない。セットリストがなかったらわからなかった。演奏がすぐにストップ、Wrong Songだって。よく間違えるな。あがってんのか。曲が終わり、Are you alright?の声が掛かる。ケヴィンがアコギに持ち替える。

Cigarette in Your Bed

アコギのフレーズで判別可能。いつも演るようですがなんでこの曲なのかな。

Come in Alone

また間違えたのですぐにやり直し。これはある程度判別できる。

Only Shallow

ケヴィンがチョーキングフレーズを頑張っているものの、どっちかというと不要。やたら下手くそに聞こえる。ここで耳栓を外してみたらやはり高音もめちゃくちゃ出ていた。多少聴けるかな。しかし、すぐに限界が来て耳栓を元に戻す。

Thorn

また間違えただろ。まあそんなもんか。これもフレーズが特徴的な曲なのでわかりやすいほう。You Made Me Realiseからの曲が多いな。

Nothing Much to Lose

Isn't...の中でも特徴的なこの曲、コルムががんばる。アルバム録音よりブレがなくこれはいい。叩きまくるフレーズがやや長くタメを作っていて聴かせる。今回はじめてこれはいいかなと思った曲。

To Here Knows When

これは誰が聴いてもわかる...はずなのに、完全にサウンドが潰れていてなにがなにやら。

Slow

少し始まるまで時間がかかる。どこからかノイズが混入したよう。出だし1回だけやり直す。比較的再現度は高い。すんなり終わった。なぜかあまり盛り上がらず。

Soon

みんな盛り上がる。シンセのフレーズがややチューニング外れ。まあお構いなしで、かなり長くプレイ。コルムが一発入れて終了。

Feed Me with Your Kiss

またも完全に破壊された音で前後左右判別不能。結構盛り上がる。しかしこの後に地獄が...

You Made Me Realise

やっと終わるのかという感じ。しかし案外早かったかも、と思っていると、原曲の後半にあるノイズシーンに。すると明らかに一段音が大きくなり、原曲ではジャンジャンジャカジャカといった感じのフレーズが、言葉では言い表せないノイズの塊となって発せられる。腹・胸はもちろん、特に鼻の鼻中隔が音圧で震える。呼吸に空振がぶつかって息苦しい。何人か出て行ったような気もする。東京ではトイレで吐いてた人もいるらしい。もちろん耳はめちゃくちゃな圧力がかかっている。振動でだんだんと耳栓がずれて外れそうになり、なんとか押さえこんで防ごうとするものの、全く意味をなさず。

いや、意味はあるに違いない。これで耳栓をしていなかったらおそらく回復不可能なダメージを受けていたはず。前の曲までふにゃふにゃ踊っていたすぐ前の兄ちゃんや、まわりの人達も、次第に踊るのをやめて耳を手で塞いでいる。観客の動きも次第に止まり、ただ立ち尽くす。大丈夫だからといって耳栓は外さないほうがいいと思う。たぶん何年かしてから後悔します。好きな音楽が聴けなくなるかもよ。

これが約13分。ただかき鳴らしているだけとはいえ弾く方も大変だろう。客が全員出て行くか、スタッフがケーブルを抜くまでやり続けるのか。永遠に続くのではないかと思われた時、一旦音が止んで、終わったかと思ったらまた始まり、2分続いて最後のフレーズが発せられ終わり。メンバーはさっさと引っ込みました。アンコールの手は弱々しく出たものの、たぶん誰もが「もうええわ」と思っていたはず。もしかするともう少し待っていたら何かあったかもしれませんが、その気力・体力は残っていませんでした。

少し経って地下鉄なんば駅のあたりで耳栓を外すと、わりとまともに音が聞こえました。よかった... しかし、翌日朝まではどこか音が遠くで鳴っているような感じが残りました。

実際、しばらくムカっとしていたのです。なんやあれ。音が大きいのはいいけど、曲として成り立っていないものがほとんどやないか。どういうつもりでああいう音にしたのか聞いてみたいもんだ。素人の学園祭でももう少しマシにやるぞ。

ええ、この人達がどういう人達かはわかっていますよ。別にCDの再現を望んでいるわけではなく、フジロックのビデオなどを参考に、どんな音を作ってくるのかなと思っていたら、ただの「音」であってMusicじゃない。あの「音」がいいならCDはかったるいはず。CDをベースに考えるとこれはなんだということになる。新作を単にあの音量でかけてもMusicには聞こえるでしょう。要するに、意図的にぐっちゃぐちゃにしたとしか思えない。変に期待してそんなものを観に行ったこっちが馬鹿だったと思ったものです。

YouTubeにロンドンでのギグが上がっていますがまともじゃないか。

1992年のギグのほうが音が断然マシ。

2/5のも上がってますね。こんなにバランスよくなかったぞ。観た場所の問題なのかな...

2/5別角度。わりとまともだな。おかしい。あの音圧ならたいていの小型デバイスのマイクはぶっ飛ぶはずなんですが。

Hatchの音響がイカンのか?いや、あれは一切のバランスを考えずむやみに音量だけ上げただけのことだな。日本のファンはとりあえず音圧でノックダウンしろと誰かが考えたのか。印象悪いぞ。どこでもやってるらしいけど。

で、特にメディア系のひとびとのインプレッションを見ると、やたらと褒めているんだけど、どうかねえ。音のデカさ・暴力性・凄さは認めるけれども、外タレを甘やかしちゃいかんよ。メディアにとっては大切なお客さんだからあまりけなしたりはしないでしょうけど。

個人的には、この人達のパフォーマンスの悪さ(要はヘタ)とライブエンジニアのウデもあるんじゃなかろうか。東京の回はわかりませんが、どうやらはじめて聞いたらしい人には全く歌の内容が判別できなかった模様で、大阪とあまり変わってないなそれ。

Isn't Anything系の曲は、アルバムの音が貧弱だけに相対的によいパフォーマンスに聞こえたものの、Loveless系の曲も同じ状態でやるからダメなんですよ。たぶん本人たちは弾き分けるなんてことはできないんでしょう(ギターは盛んに変えていたが)。Isn't AnythingとLovelessであれだけ音が違うのは、まあ時期もあると思いますがエンジニアの違いでしょう。ケヴィンは「狂人扱いされた」とか言ってたようですが、たぶんエンジニアが正しい。というかアラン・モウルダーともうひとり誰だっけ、がいなかったらどうなっていたことか。あれはたまたまああなったに過ぎない。

今回の音はその「どうなっていたことか」そのものだな。それをありがたがってもだな... 当方も20数年MBVを聴き続けていますが、あれでよしとは全く思いません。次回までに考え直すように。

どうもあのホロコーストサウンドを評価しないとファンではないというような風潮があるんですが、それは違うと思うな。あれはカレーの辛さ5倍を1000倍にしたようなもので、食ったからといって別に偉いもんじゃない。そこを抜きにしても、他の音もかなり悪かったことを指摘したいわけです。言ってしまえば、ホロコーストサウンド(やたら使うと抗議が来るか)はMBVでなくてもできる。音がでかいだけならDinosaur Jr.でもいいでしょ。それをあのメロと「うた」でやるからMBVなんでしょ。たまたまそうだっただけでしょうけど。

なんかライブとCDは違うからこのノイズを浴びてサイコー云々とかの説がありますが、論評のしようがないからそう言っているだけなのでは。そこまで言う割には今のところ大した扱いでもないし。曲そのものに触れたライブ評ってあまり見かけませんけど。

まあ、You Made Me Realiseの頃に突然爆音バンドになったらしいし、あの頃の音やビジュアルはたしかに暴力的で、メンバーのパーソナリティーもかなり出ているとは思いますけどね。それにこだわるのはわかる。だったらLoveless系の曲は前半に集めてみるとか、30年近くやってりゃ何か考えてもよさそうなもんだがなあ。まあ、そんなことはできなさそうですな。

しかし、翌日になってみて、音を思い出しながら写真を見たりすると、なにか幻を見ていたような気がして、メンバーもあと数日もすれば日本をたつわけで、あれは何だったのだろうかと考えてしまうのです。

ROの渋谷さんが言うには、「音はデカイが静かだ」と。それは言えます。あれだけの音量なのになんら味のようなものがない。もしかすると恒星の莫大な重力のもとでは原子の結合が意味を成さないのと同様、あの音圧の中では普段感じる細かな音やかすかな感覚などが全て吹き飛んでしまい、何も感じられなくなるのかも。だから静かなんです。音量が静かなのではなく音に意味がなくて静かという。Emptiness Insideです。

それでももう少しマシな音のほうがよかったけどな... 大騒ぎする連中もおらず、ほとんど動きはないのに、体調の優れない人には全くおすすめできない見世物だったのでした。

なんかねえ...MBVってそんなバンドだったっけ。どうも褒められすぎのところがあるので、やはり「褒めておかないといけない人たち」ということになっているのかな。

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この図は比較的20年前の面影を残しているように見えます。セット終盤の図。個人的には木こりと呼んでいます。ビリンダとお揃いの胸元の花飾りは復興支援のメッセージだとか。それはありがたいことです。

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なんで一人だけ離れているのかな。やや母ちゃん風情になってきた。

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懸命に働くの図。たいていベーシストは抜けたりするものですが、よく戻ってきてくれました。ほとんどネックのあたりで弾いてましたね。どうも爆轟音の正体はベースのような気がするんだが...

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今回いちばんまともで思っていたよりしっかりしていたコルムのドラミング。Nothing Much to Loseはレコードだとやり過ぎで乱れるけれども、ライブでは見せ場の一つになっていました。この透明板はなんなんだろう。

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だいたいこのいかめしい顔つきでした。やたら間違えるし、機材トラブルでもあったか。なんだかんだでFender+Marshall+HIWATTなんてな、とてもオーソドックスなセレクトなのだな。その分ギターコントローラーはぐちゃぐちゃだろう。でも、曲間にギターを変えるときに一瞬試奏するんですが(するか?そんなこと)、そん時の音はほとんど素人の試し弾きレベルの音で、エフェクトオフの時はまったくそのままの音になるようにしてあるんでしょうかね。

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結局なんだかんだでこの人を見に行ったようなもの。まあ少し疲れて見えるけれど見れてよかったです。ビリンダとケヴィンのアクションはあまりなく、デビーとコルムに勢いがあったように見えました。

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当日配布された耳栓。自分でも2種類持って行っていたんですが、どうせなのでこちらを利用。してなかったら今頃何も聞こえていないのかも。

そういえば"Swallow"やらなかったな。ここ数年は毎年来るんじゃないだろうか。関西に来たら、やっぱり行ってしまうかな...

で、いつまでオフィシャル写真を20年前のもので押し通すんだろう。我々はわかっているからいいものの、新しいファンは行ってみたらオッサンとオバハンだったとがっかりしないのかな。

New Album "m b v"レビューもよろしければどうぞ。

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